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高校英語教師の授業日記

思ったことなどを時々書いてます
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3年生の一時間目
2005年 01月 06日 |
決めた決めた。もう映画なんて言う背伸び(?)はやめて、私が去年と一昨年で勉強したことのごく一部を紹介する時間に3年生の3学期は充てさせてもらうことにした。うまく行かなくても、反応が悪くても(はじめからこんなことを言うのも何だけど・・)、私の勉強になるからいいのだ。何かを学んでも、それをうまく伝えるというのは難しいものだから。(現に私は「大学院でどんなこと勉強してきたの?」という問いに未だかつて上手に答えられたためしがない。)

一時間目は語というものについて。カテゴリー化、プロトタイプの話。

導入としては、ちくまプリマーブックスふしぎなことば ことばのふしぎ(池上嘉彦・著)のあとがきで、先生が中学校で英語を学び始めた頃にどんな疑問をお持ちになったかというお話や、その後しばらくしてから文法というものの面白さに気付かれたときのお話をまず紹介し、その後、内容に入る。ここまで12、3分(含・座らせるのに5分^^;;)

内容はまずはその「あとがき」で触れられていた、日本語では「兄」と「弟」という語が存在するのに、英語では両方をbrotherという語で表すのだということと関連し、他の語、例えばriceは日本語では「米」と言ったり「ごはん」と言ったり「稲」と言ったりするなどというとか(これらは同じく池上先生の「意味の世界」の方が詳しい)、または日本語では同じ「鮭」という単語しかないが、カナダのVancouver Islandの西海岸のNuuchahnulth people(なんて読むんだろう)はその種類や、または料理の仕方などに関してもものすごくたくさんの(種類は15個、鮭に関する動作関係で12種類)違った単語があること(これはComrie他のThe Atlas of Languagesに収録)などを紹介。そしてその後、よく使う身近な語の中でどんな例があるかということを探させる。ここまででさらに25分くらい。

身近な例の挙げさせ方が難しいだろうな。ほとんど英単語を知らないわけですからね。だからまあ、日本語になってしまっている英語や、その逆で英語になってしまっている日本語を探してみて、訳せないことを確認するとか、ですかねえ。。考えてくれるかな。・・・っと、まあいい、反応は二の次にしようと決めたのであった。

そして、名詞だけじゃなく、形容詞や動詞においてもこのカテゴリー化という問題は常に絡んでくるということを見たい。例えば形容詞だと、beautifulという語が及ぼす範囲と、その一番一般的な訳語とされている「美しい」の及ぼす範囲の違い、とか。日本語の「美しい」には「清潔」の意味が込められることもあるけれども、英語はそういうことはないのだ、ということ。動詞もそういう例はたくさんある。また、既製の語が新しい意味を獲得していくこともある(コンピュータのマウスなど)ことなどから、概念をまとめるのに役立つという働きもある。

まあこの辺はあまり詳しくやらず(というか一時間にひとつ以上は無理だと思うので)、とにかく「英語と日本語の単語は一対一では対応していないのだ」ということをわかってもらえれば良い、という目標で。

そしてその延長として最後に、「じゃあ『鳥』といったらどんなものを思い浮かべるか。『家具』といったらどんなものを思い浮かべるか」ということでアンケートを10分程度で取り、それを集計して次の時間のプロトタイプの話につなげる、と。

ん〜。なかなか完璧。

でもここまでにするのにものすごく時間がかかった。なぜだ!!いろいろな手持ちの本をあさっていたのもあるけど・・。でも結局、あまりにも「言語学」としての話っぽくなっちゃうとそれはそれでまた奥深く入り込んじゃうし、それが目的ではないので、とにかく「英語と日本語は違うのだ」「その違いからはものの見方の違い(考え方の違いというわけではなく)が発生するのだ」ということからなるべく離れないところの話に限らないといけないだろう。・・とかとか考えていたら午前中いっぱいかかったんです。まだプリントとかは全然できてない。構想練っただけ。

二時間目はプロトタイプの話をしたあと、今度は文の話に持って行きたい。こちらはまだどうやるか未定。そしてさらに三時間目には文章のレベルにまで持って行って、日本語と英語でどういう特徴があるのかということについて、もちろんそんなのはっきりと答えが決まっているわけではないけれどもこういう研究をしている人が世の中にはいるのだよ、ということまで紹介できれば良いだろう。

英語と言えば単語を覚えること、としか考えていない子たちにこそ、少しだけでも「へぇー」と思って欲しい・・けど、まあそれはどっちでもいいやと思うことにしたのだった!!さて、どうなるか。

しかしこういう準備をしていていろいろ本を見たりしていると、つくづく、世の中の論文を書く人や本を書く人というのは、上手に話を持って行くよなあ〜。。と感心してしまう。池上先生の本も久しぶりにまた読み返してみたんですが、うますぎる。内容は知っていることばかりだから新しい発見は取り立ててないんだけど、その説得力とか話の持って行き方のうまさには感動してしまいます。知っている話なのに思わず「なるほど!」と膝を打ってしまう。少しでも良いから近づきたいものです。

でもそれよりもやはり、そんな風に尊敬できる先生に出会えたことに感謝です。父と同じ年なんですけどね。おかしいな(笑)
いやもちろん父も尊敬してますけどね(^^)
by blogbebe | 2005-01-06 15:49 |
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